「PlayStation VR2」が発売開始。初代の4倍の解像度を誇る有機LEDディスプレイや、キャラクターの脈拍の上昇などを体感させる進化したフィードバック機能で圧倒的な没入感を実現
ミスターVR氏:
一般的なユーザーさんの視点から見ると、やはり「ちょっと高いかな」と思われるんじゃないでしょうか。
岸上氏:
そうですね。僕も正直なところ、ゲームのハードとして見たときに“7万円”という価格は高いなと思います。ただ、それだけの価値はある商品なんですよ、っていうことを今回はお伝えしたいですね。
──ではさっそく、おふたりにPS VR2がどのような特徴を持ったデバイスなのかをお聞きしていきたいと思います。このPS VR2をひと言で表すとしたらどんな言葉になるでしょうか? まずはミスターVRさんからお聞きできればと思います。
ミスターVR氏:
そうですね、ひと言で表すならば「完成度の高いVR機」というイメージです。
岸上氏:
なるほど、すごくしっくり来る表現ですね。具体的には、どんな点が完成度が高いと思われたんでしょうか?
ミスターVR氏:
なんというか総合的に見て、ほかの機種と比べて見劣りする部分もなければ、逆に抜きんでて優れているっていう部分もないと思うんですよ。そういう意味で“完成度が高い”っていうイメージですかね。
岸上氏:
バランス型の極致というか、全部が高水準でまとまっているようなハードウェアですよね。だいたいの機種では、どこかが飛びぬけて良いと値段がすごく高くなるか、もしくは何かを削ることになるんですけど、PS VR2はそういうこともなくて。「全部をまんべんなく良くした」みたいな機種なのかなと。
(画像はPlayStation Blogより)
──岸上さんがPS VR2をひと言で表現するとしたら、どうなりますか?
岸上氏:
僕が思うのは「7年待ってよかったVRゲームハード」だな、と。実は、僕が今のVRゲームを作るMyDearestという会社を立ち上げたのが2016年なんですけど、これがちょうどPS VR“1”が発売された年でして。それで1から2になるのには7年間、「待っていた」という想いなんですよ。
もちろん初代PS VRも素晴らしいハードだったんですけど、やはりプレイステーション系列で初めて出るVRハードだったので、まだまだ足りない部分もありました。そういう点がPS VR2では改善されて、ミスターVRさんがおっしゃるように完成度も上がり、いよいよこれはVRゲームハードとして長く使える機種になったな、みたいなことを感じています。
なので今回、ゲーマーの方に向けては「7年待ってよかった」「まさに次世代のゲーミングを体験するには最高のハード」という部分を特にお話していきたいですね。
──ありがとうございます。ミスターVRさんはPS VR2以外のVRデバイスも多数お持ちかと思うんですが、ほかの機種と比較したときに特徴的なところとか、印象的な部分などはありますでしょうか?
ミスターVR氏:
やはりひとつはディスプレイが有機ELってところでしょうか。Meta Quest2をはじめ、ほかの機種では液晶を採用しているものが多いんですが、それだと黒の表現がちょっと弱いんですよね。白味がかかった黒になってしまうというか。有機ELでは暗い場所の黒がかなり表現できていて、ホラーゲームとかではかなりリアルな体験を楽しめると思います。
岸上氏:
これはすごく大事な部分ですね。特にVRゲームにおけるもっとも重要なジャンルってホラーじゃないですか。ホラーの分野で“黒”の表現って欠かせないもののひとつだと思うので、有機ELパネルを採用しているという部分は大きいと思います。
──おふたりとも、実際にPS VR2で遊ばれた経験がお有りかと思いますので、先ほどのディスプレイをはじめ、各所についてより詳しくお話を聞いていきたいと思います。
まずはグラフィック部分から、岸上さんはPS VR2のグラフィックについてどう思われますか?
岸上氏:
これは後ほどミスターVRさんにも感想をうかがいたいんですが、僕が最初にプレイしたときは「あ、綺麗だな」と思いました。そのとき遊んだのは『ディスクロニア』っていう我々のタイトルなんですが、本作はすでにQuest 2とか他機種のヘッドセットで発売されているので、自然と比較してしまうんですね。
そこでPS VR2では「綺麗だな」と純粋に思いました。スペック的な話をすれば先ほどの有機ELパネルもそうですし、初代PS VRと比べると解像度は2倍、両目で約4倍になっているとのことで。まさにグラフィックの美しさを体感できるハードだなと感じましたね。ミスターVRさんは、PS VR2のグラフィックをどう感じられましたか?
ミスターVR氏:
そうですね、一番思ったのはPS VR2ではスクリーンドア効果【※】を感じる場面がほとんどなかったっていうところでしょうか。初代PS VRではたびたびあったんですけど、かなり改善されているようでした。
あと、先ほどの有機ELパネルなんかもそうですが、ゲーム中のグラフィックのクオリティがすごいですよね。PS5の性能のおかげなのかもしれませんが、Meta Quest 2みたいなスタンドアローン型VRヘッドセットのゲームよりもはるかに高品質だなと。
※スクリーンドア効果:VRヘッドセットを装着したとき、ディスプレイのドットの間が網目模様のように見えてしまう現象
岸上氏:
確かに。先ほど舞台裏でお話しているとき、ミスターVRさんが「発色が良い」っておっしゃってたんですよ。これはすごく良い表現だなと思ったんですが、うまく伝わるかなという(笑)。
ミスターVR氏:
何というか、明るい部屋に入っているようなイメージですかね。これが液晶だと少し暗く感じるんですが。ちょっと「発色が良い」以上にうまい表現ができないかもしれません。
岸上氏:
でもこれ、言いたいことはすごく分かるんですよね……どこか明るく感じるというか。少し実際に触れてみないと分かりにくいところではあると思うんですが、「ああ、明るく感じるんだ」って思っていただけると助かります(笑)。
──ぜひプレイステーション公式のPVなどご覧になっていただいて、その鮮やかさを疑似的にでも感じていただければと思いますね。
岸上氏:
あと人間の目ってピント調整を行うんですが、それを再現する「フォビエートレンダリング」って機能がPS VR2には搭載されているんですよ。
人間の目は見たところにピントを合わせるので、その部分の解像度が上がって、逆に周囲はぼやけて見えるじゃないですか。それを技術的に再現したのがフォビエートレンダリングです。目の瞳孔間の距離とかに応じても調整できるので、そのあたりもかなり行き届いてるなって思います。
──よりいっそう、現実で“見る”感覚に近いものに仕上がっているということですね。
ではここまでは「目」のお話でしたが、次は少し「耳」のお話をうかがいたいです。ミスターVRさん、PS VR2のサウンドはいかがでしたか?
ミスターVR氏:
サウンドは今までの機種よりも飛び抜けているような感じでしたね。サウンド用にヘッドフォンも付属していますし、恐らく音の面でもかなりこだわって作られているんだろうなと。そしてやはり高品質な視覚と聴覚の情報があわさると、ものすごく臨場感が高まることをあらためて感じさせられました。
岸上氏:
そうですね。僕も実際に遊んだんですが、サウンド面はちょっと別次元ですよね。グラフィックはこれまでにもすごく良いハードが出ていましたが、音にここまでこだわった機種はあんまり無いんじゃないかな? と思うくらい違いました。なので、絶対にヘッドフォンをつけてプレイして欲しいと思います。密閉度がぜんぜん違うんですよ。耳も着けると本当にVRゲームの世界の中にいる感覚を味わえるというか。
例えばMeta Quest 2はすごくコスパが良いハードなんですが、総合力も値段から考えると全体的に良いのは間違いないです。それがPS VR2だとやっぱりPS5本体も必要だから、値段の面ではどうしても高い。ただその分、現実が入ってこないんですよね。目と耳を密閉されると、もう外部から攻撃されても気づけないみたいな(笑)。
──(笑)。というわけなので、皆さんは必ず安全な場所でプレイしてください。
(出典 news.nicovideo.jp)
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